函館本線山線は廃線間近で完乗を目指して函館へ【1】
May 01,2022~May 04,2022
今では、もっぱら札幌駅から新幹線への乗換駅がある新函館北斗駅へ向かうなら、千歳線から室蘭本線の東室蘭を経由して函館本線へ繋がる特急を選ぶのが本数や時間短縮にも正解です。
通常、この通しの切符(乗車券)を見て思い浮かべるのは、先に述べたルートです。函館線と書かれていなければその切符に、特急券と指定席をセットで組み合わせるのが一般的です。
ICカード決済も導入できなかった駅
ところが、もう一つルートがあって函館方面へ行くのだから「函館本線」を使うのが正しいと思う人も中にはいます。いつしか、そんな余裕の考えも駅が無くなるならいざ知れず、最近の廃線ブーム?によって消えていく運命の決断がなされてしまいました。
小樽駅を越えるとSuica圏からはずれてしまうので、 外国人向けIC カード「Welcome Suica」も使えないのも不便です。
今回のルートを大まかに、北海道地図の道南地区を中心にフリーハンドで結ぶとこんな感じです。「山線」と言っても、普通イメージ湧かないというというのが一般的です。
小樽駅から倶知安駅までの乗り継ぎはできるだけ短く
札幌・小樽間は各停列車も数多く走っているので、快速を使わなくてもよかったのですが小樽から先の乗り継ぎの時間をタイトにすると、一番待ち時間が少ないのが快速エアポート95号でした。自由席でもよかったのですが、小樽ー倶知安そして倶知安ー長万部と乗り継ぐ便は、予想ですが立ち乗車になるだろうという予想です。
事実上この路線は廃線が決まったので、このGWは「乗り鉄さん」や「撮り鉄さん」から大いに注目されるだろうという予測がありました。特に、最後まで廃線を反対していた余市町の余市駅が断念したのが大々的に報道されたのも印象を強く残したのだと思います。
小樽から倶知安までの中に、乗降客が少なく秘境駅と言われる「銀山」駅があります。
二両編成の倶知安駅へ運んできた列車は、表示が「普通 倶知安」から変わり折り返して小樽へ戻るようです。
長万部まで9駅の各駅停車で、登山で言うところのジグをきるようにS字の線路を走る山間部を行きます。急坂とは思いませんがニセコ山系と羊蹄山にはさまれた尾根を通過する登り地帯です。さらに、倶知安駅で残雪を見るように、北海道の中でも豪雪地区を切り裂く路線です。
倶知安駅は、札幌まで延伸予定の北海道新幹線の停車駅です。ここで、降車する人も多く駅改札口に吸い込まれて行きます。ここからの本数は激減して夕方まで長万部行きはなくなります。
倶知安駅を出るとすぐに全国的にも珍しい駅舎が宿泊施設となっている比羅夫(ヒラフ)駅があります。最近テレビドラマの「ここ、どこだよ…」と主人公「玉城ティナ」さんの『鉄オタ道子、2万キロ』の第一回放送で立ち寄ったことで有名になりました。(Paraviなどで配信しています)
この2万キロという数字は、心地良い響きの表題です。故 宮脇俊三氏の著書「時刻表二万キロ」にあるように、かつて日本国有鉄道(国鉄)時代の営業距離を回想させてくれます。
この函館本線、通称山線が廃線になるのは、二つの大きな環境があるだろうと思えていて、ひとつは、新幹線が札幌まで延伸により横を通る路線となることと、この路線にほぼ平行している国道5号線の存在が大きいのだろう。
目名駅から熱郛(ねっぷ)駅までは、長万部行きのなかでもっとも駅間の移動時間が長いです。
この熱郛駅から国道5号線は、一度離れていきます。また、鉄道路線に沿うように合流する場所が、すでに廃駅になってしまっている「蕨岱(わらびたい)駅」付近から長万部駅まで平行するように国道が繋がっています。
そのため、駅に車を止めて、目的の駅まで乗車して降車し、追ってきた迎えの車に乗車するなどの効率のよい駅舎撮影をすることも可能です。
倶知安行き下りと長万部行き上り列車が、13:51PMの同時刻に黒松内駅に出発します。乗り換え時間は数分ですが、これを使って山線の面白い使い方ができるように思ってしまいます。
次は、廃駅となった蕨岱(わらびたい)駅(2017年3月4日)を通過して、二股駅です。貨物コンテナを改造した駅舎なので、降車した人がいました。この駅舎も廃線が決まったので見納めです。
まもなく長万部駅です。山線完乗の旅はこれで終了となります。そのため気の緩みがあったようです。
あとは、室蘭本線経由で到着する特急北斗12号に乗車し函館北斗駅に向かうだけなのですが・・・。
新函館北斗行きに乗車のはずが・・・誤乗車!
途中下車してトイレタイムです。特急列車が到着まで時間があります。
特急北斗12号に乗車して、新函館北斗到着までの1時間15分の間に、札幌駅で購入した駅弁を食べる計画をしていました。それで指定席にもしたのですが、なんとなくミスをして反対方向へ誤乗車していまいました。
私達が今乗っているのは、札幌行きで次の停車駅「洞爺駅」に向かっています。写真を撮るのに夢中になっていて、相方も気づいていません。乗務係(車掌さん)へ聞くと間違って乗車しているとのことが発車してすぐに判明しました。
何やってんだろう・・・
秘境駅の小幌駅通過を見られただけよかったじゃない・・・
「次の停車駅で、手続きを取ってください」ということと、新函館北斗へ向かう便の時間を教えてくれました。
折角の駅弁がさらにお預けになりました。乗り換えでは自由席になるので洞爺駅の待合室で食べることにします。
今度は間違いないように、ホームを確かめて乗車です。
今回は、山線の完乗をひとつ目的にしたために、変則的な乗り継ぎをしてしまいましたが、目的地へいくなら、やはり室蘭本線を経由する通常の方法がベストであることがわかります。
1時間ほどの遅れで今日の旅の予定駅「新函館北斗」に到着しました。
長かった、と思わず身体にダメージを感じます。
乗り鉄でもなく、「鉄」分の補給もいりませんが、鉄道旅の楽しさはわかります。たしかに、マイカーの運転の方が楽ですが鉄道の車窓から見えてくる風景は、車の窓からは見えないモノばかりです。
今回、函館北斗駅を一日目の終着地にした理由と、お得な周遊券については次の章である【2】で書いていこうと思います。
もう一つの函館本線、渡島砂原(おしまさわら)経由へ乗車する方法です。
公共交通のインフラについて
公共交通について廃線も含む気になる記事が、日本経済新聞に掲載されていました。「データ不在の交通インフラ政策 土木学会などが警鐘」という見出しです。
土木学会が公表した「日本インフラの体力診断 Vol.2」によれば、
「地域公共交通のインフラ体力」は、量的評価として「目標値がなく評価は困難」とされ、質的評価に至っては「独立採算制が立ちゆかなくなり、これまでの『公衆交通』に代わる思想が必要」と診断されています。
そう言えば、都市圏のバス運行は、運転手のなり手が少ないという問題が出て来ていようです。それは、今後地方にも波及していくのだと思います。鉄道からバス転換輸送と言っても、将来バスの運行も少なくなるのは自明の理です。
研究の進む、自動運転の社会も、鉄道からバス転換された場所に導入されるのは近い将来とはならないと思います。
廃線予定の「小樽」⇔「長万部」間は、どのようにインフラ整備されるのでしょうか。北海道新幹線が、ほぼ並行に線路が敷かれているので、その新しい駅と地域をつなぐという整備になるのでしょう。
現在、新函館北斗駅は、北海道新幹線が乗り入れる始発駅であり、終着駅でもあります。列車を使った北海道旅行の基点となる駅になっています。
と言っても、鉄道よりも圧倒的に車移動の人が多く、ホテルも列車のタイムスケジュールに合わせていると言うより、時間にとらわれないマイカーやレンタカーの客層や団体客が多いのでビジネス利用ならこの駅を外して、上りなら函館まで行ったほうがいいように思えます。
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