クメール遺跡ボロブドゥールの旅【3-2】Apr 28, 2016~May 04, 2016
ベチャの運転手には、ここで待ってもらうことにした。ここまで王宮の脇の道を使って、一方通行や小さな通りなのを走ってきたので、意外と長く乗っていたように感じるが、実際の地図でみると1km程度だろう。しかし、この炎天下では、もはや歩く事はできなかったと納得した。
「まっすぐだ!」とベチャの運転手が進行方向へ指をさした。
タマン・サリ(水の離宮)へ入場
入場料は、1人12,000Rpである。すぐ横の入口で購入したばかりの券を見せる。角を折って戻された。そして、格好からすぐに「Japanese?」 と言って、「English?・・・・・・Understood?」と英語のガイドならいるよ!と言ってきたが、面倒なのでお断りする事にした。
「王様の施設としては、意外と小さいな」
一番最初に目にはいってきたのが、水でなく陸地の庭だったからかもしれない。
「王の遊戯施設のような感じにしては大きいでしょう」
とガイドブック仕込みの知識で応酬してくる。
「タマン・サリはインドネシア語で花園だからなぁ~」
『こんな知識をひけらかしても、相方にはお見通しで翻訳ソフトかWikipediaなんかの情報と思っているに違いない・・・』
守り神のあっかんべぇー、が印象的
王宮にもあった「守り神のあっかんべぇー」がここにもあった。そのキャラクター性が強い印象だった。
中門を越えると、水の離宮と言えるプールのような場所に出る。四方を壁と高見の部屋によって囲まれている。
ココを見るだけなら飽きてしまう。そして、この陽差しの強さでは、少しでも陽のあたらない日陰を探してしまう。水面の照り返しの強さも皮膚に感じてくる。
「UVローション持ってこなかった・・・」
相方が、ホテルの部屋でせっかく忘れないモノとして用意したのに、と言いたげの表情が見て取れた。
『要は、忘れてきたということだ』いつもの事だと納得はするが、口に出しては言えない。
暑さが、もうココはいいかなという気持ちに拍車をかけてくる。
そんな時、ぼんやりと見た方向に人が集まっていた。
「そこを最後にしよう。」
相方も、すでにそう思っていたらしく、自然に終了モードに入っていた。
ここのガイド風の人が指さして
ハシゴのような階段を指をさして、「上に部屋があるよ、行ってみなよ」という感じでガイド風の人が立っている。他の観光客にも声をかけていたようだが、素直に反応したのは私と相方だけだった。
この急階段を登りながら『ちょっと警戒しなくちゃ』となんとなく、この場所の口コミ情報が頭を駆け巡った。
先入観もいけないが、先人達の風評を受け流すのもよくない。後はどの程度まで私の許容の範囲があるかだけだろう。
最上階の窓から見ると、ほとんどこのプールが見渡せる。
ただ、それだけである。この小さな窓から広がるスケールの大きさは、権力とお金がエロスを媒介して、壮大な規模を作り出すということらしい。
少し慎重にこの急階段を下ると、先ほどの人(ガイド)がまた声をかけてくる。さっきは、階段の方に気を取られていたが、あらためてみるとガイドの服装である。
彼が言っている要点をまとめると、
1,地下の水路があるけど、見たいか!
2,無料でいいよ(プライスを聞いたが、GO?・GO?でなんとなくごまかされた)
3,英語はできるか?(これは英語の案内であるという感じ)
少し悩んだが、GO?言葉に押されてOKを出してしまった。ここに来て他のガイド達の様子を見てきた。そのなかでも色々な店をまわって案内している姿があったので、何かを購入させる目的かも、と思いつつ。
まあリスキーでもないので・・・なんの根拠も脈絡さえないのだが、黙ってついて行くことにする。しいて言えば、この題目となっている旅「テクテクと。」にふさわしいことぐらいだ。
これは、わからない細い小路を進んでいく
他のガイドも案内していた方向へ歩き出す。
相方が「動画をとっておかなきゃ」と言い出して撮り始める。
そう言いながら平静を装っているが、あまりに入り組んだ細い道をたどるので不安になったに違いない。『どこかに、連れていかれて・・・』ぐらいのことは考えていただろう。
色々な資料には、この地下水路の存在が書かれている。しかし、歩き出してみると『これはわからない。』まったく違う場所へいくといってもいい。さすがに人家の軒先や小路を通っていくというのは、観光ルートとしてはあり得ないだろう。
仮に一度行っても、もう一度行くとなるとかなり大変である。Google Mapでさえ、GPS補足が間に合わない位に細かい道だった。
『電線か?邪魔してる。本当にここ通さなければいけないの。何でそうなるの!』と思ったが、異国の事情とあきらめる。
日本の観光地なら、絶対にココを通させないだろうな。
インドネシアは火山国である。地震も多いのでスルタン王のタマン・サリも崩壊して、8代目になって再建されたとはいえ、火山灰などで埋まっていったところも多い。
『明日行くことにしているボロブドゥール遺跡も火山灰に埋もれていた回廊があったはず』時の権力や宗教指向が放置させてしまう。
少しずつ修復されているのだろうが、観光に力を入れている割には、王宮(南・北)からタマン・サリ水の離宮、そしてここ地下通路までの導線がしっくりこない。実にもったいない感じがする。共通入場券とペチャ往復付き券なんてあると便利である。
ジョグジャカルタに来て市内巡りをするなら、この場所キープ
ジョグジャカルタに来て市内巡りをするなら、ココは行くべきでしょう。しかし、ガイドさんの馴染みの店をいくつかまわる事になるので、そのときの対応はどうするか。
今回は結局、何も買わずに終わったがそれで良かったのか?実際、こんなところでバティックを作っていたり、ジャコウネコのコーヒーの販売店があったりと。単なる観光土産屋では無かったのが印象的であった。
特にガイドブックには載っていない場所だったのも、面白かった。
この場所のガイドとしては、日本語でなくとも満足できた。それ故に『申し訳ない』という気持ちが残った。
特に、終わったあとガイド料の請求もなかったし、と言うよりガイドさんから別れる挨拶をされてしまった。志(チップ)くらいは用意していたのに。
「チップはいらなかったのかしら?」相方も仕事の対価としては、非常に気を遣う性格である。
待たせていたベチャの運転手は、数台が集まる待機所の端にいた。そのおかげで多くのベチャから、ここぞとばかりに声がかかる。待たせていたベチャに乗り込もうとすると、他のベチャから熱い視線を感じた。
相当うらやましいのだろう・・・「こんな効率のいい方法があったのか、と思っているらしい」
ここで、ペチャに声をかけられ相場がわかる
片道のワンウェイ運転が彼らの仕事のやり方なのだろう。
降車は、来るときの乗車場所までが約束の場所である。
「帰りも含めて20,000Rpですよね!」と私は意地悪く言った。
いつもなら、こんな事はしないのだが、いつも気にしないレベルの金額であっても、今回はボラれたような感じなので、こちらも反撃して言って見たくなった。
それと待たせていた場所での、他のベチャ運転手から熱視線とその時、声をかけられた「金額」が頭に残っていた。
かなりムキになって来る。
「20,000Rp×2」と言うように、相方が持っているルピア紙幣指さして、さらに人差し指と中指で、こちらに訴えてくる。
きっと、こう言って怒っているに違いない。
『一時間以上まってやったんだ、この時間でどれだけ稼げたと思ってるんだ・・・』
そんな、やり取りをやっていると、すかさず相方が、
「40,000Rp」と言って差し出す。
いままでのやり取りが、何だったかのように、場の空気は静かになった。
『ふっー、気の弱い(お金の件では特に)ので、心の中は安堵した』
陽差しは、まだコンクリートの道路から照り返しが強いままだ。
「来た道を戻ろうか」と声が聞こえたので、振り返るともう相方のiPhoneは、Google Mapの画面を出していた。
いつも海外に行くと、これが頼りなのでバッテリーが無くなったりすると大変である。私は、その感度がAndroidの方がいいのをベトナムで知って以来、iPhoneは止めた。(歩きで使う時のほんの一瞬の精度が違っている)
「今日は金曜日、早く終わってしまう施設が多いようだから、ソノブドヨ博物館も終わっているだろう、なんていったっけなぁ~、影絵の芝居が見られないのは残念だけど」
マリオボロモールの前まで、歩いてきた。
「夕涼みしないと・・・」相方が目線を送ってくる。
それは、もう入口の階段の一歩を踏む寸前であった。暑さで昼の食欲もなかったところに、この冷房の涼しさがありがたい。
マリオボロモールの冷房はひとときのオアシスのよう
このマリオボロモールの上階には、フードコートがあり、地元の学生で賑わっていた。外の屋台の金額に比べたら相当高いはずだが、学生が食べられる値段なのだろう。
「この炎天下の屋台で食べるとなると相当勇気がいるけど、ココならなんとか食べられそうか」
昼を食べていないので、今この時間に食べると夜はいらないだろう。
インドネシアに来てまでなぜケンタッキー?
一通りこのフードコート内の店を見てまわる。どうしようかと思っていたら、欧米人らしき観光客の夫婦がケンタッキーを注文していた。
食べ慣れているものを食べたい、と言っている雰囲気だった。
心境的には十分わかる気がした。
釣られるように、インドネシアのオリジナルセットメニュを注文、ライスがついたケンタッキー。地元の歌手のプロモーションCDがおまけで付いてきていた。
さすがに、ライス部分は味気なく残してしまった。
「普通のにすればよかった」と後悔と残してしまった罪悪感が少なからずあった。
ホテルへの帰り道、マリオボロ通りとの交差点からトゥグ駅東口の駅舎までの距離。あさって朝、また、ここに来る。
『遅れるわけにいかない』と思う。意外にも定時出発しているのを朝に駅に立ち寄った時に感じているからだ。
駅からホテルまではすぐそこに見えるが、道路がないので、大回りで戻る。
明日は、ボロブドゥールの遺跡巡りが待っている。
つづく・・・
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