秘境駅第一位、豊浦町の熱意を感じる存続駅の旅 May 9,2021
今回は秘境駅に行ってきました。
コロナ禍のなか、疎開先を選ぶなら、三密を避けて行動するのが得策。普段仕事をしてる人間にとって自粛して家庭に留まればおのずとクラスターとなりえます。蔓延防止のため外出しないように「隔離」するか、蔓延を避けるために安全な場所に避難(疎開)するか、ともに実証されたエビデンスはないように思いますが。
不思議な国の日本になってしまった。
まあ、そんな訳で人の少ない所へ・・・
目指すは★1位の小幌駅出典:旅と鉄道 2020年11月号 秘境駅入門の付録より
小幌駅へ行くにはどうするか?いくつか候補を挙げてみる。
この「小幌駅」とは北海道新幹線を使い「新函館北斗駅」へ行くなら、通過する線路上にある駅です。ただし、トンネルとトンネルの僅かな隙間にある駅なので車内から目で確認できるとしたら「運」と「動態視力」が必要に思います。あっという間に通り過ぎてしまうので。
こんな感じです。
昔は、函館方面へ行くなら小樽を経由してニセコを走る通称「山線」でしたが、特急を使い千歳線経由の室蘭本線が主流となっています。そんなわけで秘境駅と言っても気にしないでいると「駅」という存在も忘れてしまいます。
私は北海道に住んでいるので、それほど目的の駅への導線が難しいという訳ではないが、行こうと意思がないとかなりハードルのが高い駅でもあります。
例えば、札幌市内からならJR札幌駅~JR小幌駅へと単純明快に発券すればいいだけのことですが。。。
効率のいいのが、
JR札幌駅 06:00発⇒JR東室蘭 07:17着 (特急北斗2号 函館行)
JR東室蘭で乗換 07:26発 ⇒ JR小幌駅 08:35着
2時間35分で目的の「小幌駅」に到着します。
何てことないのです。と安心してはいけないのが秘境駅の所以なんだと思います。
かと言って、駅までタクシーを呼べばいいなんてことはありえないのです。駅がトンネルとトンネルの間にポツンとあるだけで、アクセスする道路もないのです。
強いて可能性があるとすれば、駅から急坂を下って海岸線に出て、船で迎えに来てもらう?か、林道トレッキングで国道沿いへ出て、タクシーなどを呼ぶ方法が残されています。
JR北海道を何とか盛り上げるためにもなるべく利用したいところですが、この札幌駅 06:00発に乗車するには、札幌に住んでいる私の家からでも、市電やバスなど主要な交通機関の停留所が近くにあっても、タクシーで行く以外にはありません。
もちろん、北海道外からの場合、新千歳空港に到着便は無くこのダイヤで新千歳空港駅~南千歳06:28発には間に合いません。札幌か千歳などで前泊するしかないようです。
また、北海道外から来て、この小幌駅の15:10着を目指すなら、朝と同じように東室蘭を目指し乗継方法もありますが、ちょっと変則的に乗り換え駅を変更してみるのも面白いですけどね。
JR札幌駅 12:09発 ⇒ JR洞爺駅 14:06着 乗り継ぎの時間が40分弱ありますが、JR洞爺駅 14:48発 ⇒ 小幌 15:10着
これなら、復路で「JR洞爺駅」で下車して、洞爺湖温泉で一泊するという予定も立てられそうです。
翌日ホテルをチェックアウトして新千歳空港駅へのアクセスも特急停車駅の利点を使って、午後からの航空便なら十分間に合わせることができます。
こんな小幌駅到達計画を立ててみたのですが、さんざん寄り道をしてしまいました。最初は、JR北海道を使う鉄道の旅と思いながらも、JR豊浦駅を目指す理由があってマイカーを使って秘境駅を目指します。
豊浦町小幌駅の「秘境到達証明書」取得に最も近い駅
豊浦町が観光資源として尽力して残されている小幌駅なので、豊浦の駅をこの旅の起点とします。この日は、札幌市内の天気は雨で国道230号線の中山峠を越えて喜茂別くらいまでは雨模様が続いていました。
直接豊浦方面を目指すなら、230号線の三ノ原から道道777号線に入り道道97号線へのルートがナビで案内される。もう一つ、ちょくちょく来ては補充している「梅漬け」を購入する目的もあって、洞爺湖温泉経由で「道の駅あぷた」へ。
観光地は、昼食を取ろうとすると14時を過ぎるとランチ難民になることが多いので、今回は早めにJR洞爺駅前にある「Bistrante&Bento KOTTA」で食事をとります。
まだまだ豊浦駅の14:53発には時間があります。
「道の駅あぷた」も「道の駅とようら」ともに、この時期は『苺』が旬なようで買い求める人が多いようです。まあ午後からノコノコと行っても完売でした。
そろそろ小幌行きの時間です。
豊浦駅前にある駐車場に車を置きます。
豊浦駅の時刻表です。乗車ホームが表示されていますので確認します。
豊浦駅は停車するけど、小幌駅は通過する列車が多いように感じます。特に長万部駅から東室蘭方面行きは注意が必要です。
豊浦駅は思ったよりも大きな駅ホームの佇まいでした。
後部ドアで待っていたらワンマンなので、「前乗り・前降り」で整理券を取らなければなりません。
以前旅行で行った、静岡県の大井川鐵道では、「後乗り・前降り」だったので無意識にドア開閉ボタンを押すも開くはずはありません(^^)/。
ここから小幌駅までは440円です。この豊浦駅での乗車記念?に整理券を撮影します。
小幌駅は不思議な駅ですね。それぞれ秘境駅はそう言われるまでの歴史があって、人々の暮らしとか産業資材の積み込みなどでにぎわいのあった時期があったりします。
でもこの駅、国鉄時代は駅ではなく信号場として開設され、礼文華峠の連続するトンネルのわずかの隙間に蒸気機関車を停車させるためだったとは・・・。
それが国鉄から分割民営化したJR北海道になったときに、廃駅になるのではなく旅客駅に昇格するという離れ業も魅力の一つに。
今年の春に導入されたばかりの電気式気動車「Diesel Electric Car with Motors」略の通称DECMO(デクモ)に乗車できたのだからラッキーでした。
小幌駅に到着
整理券と運賃の440円を、提示しながら料金箱へ入れます。1000円札しかなかったので乗車後すぐに料金箱一体型の両替機で細かくしておきました。
乗降客も僅かでしたので、停車して間もなく出発です。
北海道豊浦町字礼文華(れぶんげ)がこの駅の住所です。午前中は雨模様のままこちらに来ましたので、午後から晴れてきたのでしょうかホームに残る水たまりのコントラストが、陽に浴びて孤独感満載の駅を明るくしてくれます。
進行方向上り側のトンネルは、手前の「幌内トンネル」と次の通過する「美利加浜トンネル」の表示がありました。
遮断機が下りていますが、この状態になったらすぐに通過する列車が来ます。数分前から警告音がなり、しばらくすると踏切音とともに遮断されます。ホームが狭いので身を乗り出すなんてことはやめましょう。
15:10に着いて、15:45発で戻るのですが、この35分間の間に、通過列車が貨物も含めて2本ありました。
この狭いホームですから目の前で起きる迫力に一歩後ずさりしてしまいます。(後ろは森です)
周囲を散策、岩屋観音と文太郎浜
小幌の小道具コンテナがありました。上の手で持っている巨大切符が入ってました。
地名に「幌」がつくところ
話はちょっと脱線します。
北海道の地名のには、「幌」の漢字が使われているところが多いです。
しかし実際は、私の住んでいる「札幌」は、さっぽろと「ポロ」と発音されます。かと言って、私の出身小学校は、「幌西小学校」の場合は、音読みを使い「コウサイ」で、北海道外の人は「ホロニシ小学校」「コウセイ小学校」とか難読漢字のようなことがおきます。
また、同級生の中には「幌」と書いて「あきら」と読ませる人がいました。このように、漢字の原則というよりも、いたってアイヌの人たちが使っていた言葉の「音」に当てはめていったという印象があります。
例えば、アイヌ語で「ポロ」は広い台地のような場所を表すようですが、漢字の持つ意味と必ずしも一致していません。サッポロという地名は「乾いた広大な大地」という意味ですが、漢字はその成り立ちを反映していません。つまり当て字なのです。
一説には、このあたりを「ポロナイ(幌内)」と言われていたようで、その意味の「広い土地の沢」がぴったりと言われると、そうかなぁ~と疑問符がつきますがトンネルとトンネルの間の開けたロケーションを見るとそうなのかもしれません。
川というほどの幅はありませんが、沢が流れていますし・・・。
ただ、これが転じて「コボロ」となったとは無理があるように思います。
この小幌駅から下り海岸線には「岩屋観音」があります。このは通称小幌洞窟と言われていました。この場所は「ケウポール」と発音されていたようで、それが「コボロ」になったというのが有力なのでしょう。
意味は「死体の洞窟」とされていますがが、地名の由来としてはどうなんでしょうか?
希望とすれば、漢字の持つ意味との融合で「小幌」は、『そんなに大きな土地ではないけれど沢がある』なんていうのが秘境駅としてピッタリなように思うけどなぁー(妄想です!)
豊浦町が発行する「秘境到達証明書」
15:45、復路となる「東室蘭行」が間もなく到着します。
小幌の「駅名標」と一緒に写った、相方と自分のそれぞれ写真は、撮り終えています。秘境到達証明書の要件はクリアしています。
復路でも、往路で乗車していた人が同じくいます。乗り鉄ということでしょうか?長万部(おしゃまんべ)まで行っての帰りなのでしょう。
小幌駅で乗車すると「整理券」を取ることになります。これが唯一の乗車証明になるので、写真をパチリ。
トンネルを抜けて「礼文駅」・「大岸駅」を過ぎていきます。
小幌駅を目指した豊浦駅に戻ってきました。
往復とも新しい車両で快適です。ホームに降りて跨線橋の上から見送りします。
駅を出て早速、「秘境到達証明書」を発行してもらいます。
この豊浦駅を選んだのは、「天然豊浦温泉しおさい」がもっとも近い場所だからです。
天然豊浦温泉しおさいへは、バスの時間が必ずしも列車と連動しているわけでありませんし休日・祝日は極端に本数もい少なくなります。しかしながら徒歩なら20分くらいで行くことができるのは利点です。
スマホで撮った「証拠写真」を温泉の受付カウンターで提示します。
今回の小幌駅への旅で、思い残すことがあるとすれば、「岩屋観音」へのトレッキングでしょう。しかしながら、このルートを実行しようとすると、朝、豊浦駅を8:18に乗り、帰りの便は今回同様の15:45小幌発と7時間ほどその周辺にいなければならないことになります。
この時間は、鉄道で秘境駅を目指すというミッションと分けて考えてみる必要があるように思います。
今回の便で小幌に来て、15:45発を逃すと19:45発の最終です。真っ暗になるのでそれなりの装備が必要と思います。下りは一日二本しか小幌には停車しません。
礼文華の林道から岩屋観音を目指すトレッキング装備で行くのが現実的だと思いました。
小幌駅が恵まれているとすれば、これ以上先に進めない路線上ではなく北海道にとって重要な室蘭本線にあり、北海道新幹線の新函館北斗駅へ続いているのが強みであったと思います。それにもまして、維持管理を豊浦町の予算を計上して存続させている「町」の意気込みに敬意を表するばかりです。
秘境駅を目指すなら、「旅と鉄道」の特集がおススメです。この雑誌の表紙の写真は今回の訪れた小幌駅です。
付録の秘境駅地図帳に秘境駅のランキングがあります。
秘境初心者の私のような者でも、大変参考になります。ただ、この本に目を通すと「今度はどこに行こう!」と依存症のようになるので要注意です。
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